いつもコーヒー便り | 日記 | 2012年5月号

北海道人にとって待ちに待った春がやってきました。政府では5月のGWを地方別に分ける計画がありましたがその後どうなったでしょうか？ローストマスターはその昔から全国一律のGWは不公平だと思っていました。北海道のGWは例年寒いので外でのレジャーは十分に楽しむことができませんね。内地に比べたらどうしても損しているような気持ちでした。
本当に地方別に分けて実施されたらビジネスではとても厄介とは思いますが、うまい方法を見つけ出してほしいものです。
今月号は絵が多いので早速特集を始めましょう。前回は抽出方法を透過法、浸漬法【しんしほう】で分類してみましたね。今月は透過法（カリタ、コーノ、ハリオなど）ではどのようにコーヒー成分が抽出されるか特集します。
何気ないペーパードリップのなぜ？が解決できるかもしれませんよ。
１．コーヒー成分ができる仕組み
コーヒーの粉一粒に着目してみましょう。
コーヒーの粉には小さい気孔が無数（多孔質）にあいています。小さな部屋がたくさんあると考えてもらえるとOKです。その小さな部屋には炭酸ガスがたくさん詰まっています。
この炭酸ガスは焙煎直後から大量に発生して、日数が経過すると徐々に減るものです。
それではお湯とコーヒー液の動きを見てみましょう。
粉に最初のお湯が注がれると小さな部屋に詰められた炭酸ガスは高温にさらされて粉の外に出始めます。これがドリップ時の泡となって現れるわけです。そして炭酸ガスが飛び出た部屋にはお湯が入り込んでいきます。
ここでコーヒー成分が溶け出しやすくするため一般的に《むらし》の時間となります。
むらし時間とともにコーヒー成分が溶け出して濃度の濃いコーヒーが部屋に充満していきます。

むらしが終わるとさらにお湯が注がれます。
すると濃いコーヒーの周りには濃度の薄いお湯が入り込んできます。
ここからは「浸透圧」の関係で説明ができます。濃度の低い液体から濃い液体へと成分が移動して濃度を一定にしようとする力が働きます。
お湯に溶け出した濃いコーヒー成分はペーパーを通して落ちていくことになります。
濃いコーヒーが抜け出た部屋には濃度の低いお湯が入り込み、コーヒー成分を徐々に蓄えていきます。

通常、ペーパードリップでは何回かお湯を分けて注ぎますが、以上のような仕組みでコーヒーが抽出されます。

ここで大切なのは《むらし》です。
むらしによってコーヒー成分がお湯に溶け出しやすい環境を整えることができます。ここをきっちりと手を抜かずに行うことでドリップの８割方はうまく出来たといえます。
むらしは粉に対して満遍なくお湯をかけてそのままにします。新鮮なコーヒーだとどんどん炭酸ガスが出始めてドームのように膨らみます。
むらし時間の終了は次のような目安を持つといいと思います。
・    膨らみが終了して若干へこんだタイミング
・    膨らみ始めて20～30秒はそのままにする。

新鮮なコーヒーでも膨らみが弱い場合もあります。特に浅煎りのコーヒーの場合、深煎りと比較すると膨らみが弱い傾向があります。

コーヒー成分の抽出の仕組みは如何だったでしょうか？ちょっとミクロな世界に入り込んだような気がしています。

《編集後記》
あっというまに1年間の1/4が経過しました。ローストマスターは冬に出鼻をくじかれた感じですが、建て直したいと考えています。
5月にはハワイ島カウ地区のコーヒーフェスティバルに行きます。ハワイはコナ地区のコナコーヒーがとても有名になっていますが、コナより品質の良いコーヒーがカウ地区から生産されていることを知りました。そこで急遽、現地の方からもお誘いがあって軽い乗りで行くことを決定しました。コーヒー農園がある場所は当然田舎です。現地まではレンタカーで移動するしかありません。右側走行、左ハンドルも経験なしです。さて、単独での珍道中どなることやら。
それでは６月号をお楽しみに。